新たに新設された「リハビリ統括調整室」について確認しておきましょう
「リハビリテーション統括調整室」が2026年5月に新設
昨月、2026年5月19日に新たに設置された「リハビリテーション統括調整室(以降、「本室」と略記)」。
医療、介護、障がい等の厚労省内の各関係部局を横断して政策を推進する役割を担い、今後は本室を中心に横断的なリハビリテーション政策を国家戦略として推進する計画のようです。
正に国が目指す社会像を実現するための「中核」として機能させていく意気込みが感じられるこの動きに対し、介護・福祉業界としてはどのように捉えていくべきなのか?
そんな想いを持ちながら、今回は本室について取り上げてまいります。
「リハビリテーション統括調整室」新設の意義
一般的に「リハビリ」といえば、病院で怪我や病気のあとに体を動かす練習をするもの、というイメージが強くありました(というより、業界に関わりのない方からすれば尚更、そのように認識されている方が多いかもしれません)。
しかし、介護・福祉業界の人間として、我々が現場で利用者と向き合い続ける中で学んできた「本来のリハビリ」とは、当然ながら「単に歩けるようにする」とか「手足を動かせるようにする」ということではありません。
ラテン語を語源に持ち、「re(再び)」+「habilis(適する)」からきている「リハビリテーション」という言葉、「社会の偏見や政策の誤り等のために、奪われ・傷つけられた尊厳・権利・人権が本来あるべき姿に回復する」、即ち「全人間的復権」という意味がある(※)ということは業界にかかわる皆様であれば当然ご存知かと思います(※:日本障がい者リハビリテーション協会のHPより抜粋)。
あらためて再確認すると、目的は「体を元に戻すこと」だけではなく、「その人がもう一度“自分らしく"暮らせるようになるように支える」ということ。
我々の業界に落とし込んで具体的に考えるなら、例えば、
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・退院したあとに家で安全に暮らせること
・食事や着替えができること
・外に出られること
・家族の負担が軽くなること
・人とのつながりを失わないこと
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こうした暮らし全体を支えることがリハビリだと言えるのかもしれません。
今回、国が「リハビリ統括調整室」なるものを新設した背景には、もちろん「高齢者人口の加速度的増大」という現実が存在しています。全国的に高齢者が増え、病院だけでなく介護現場、自宅、地域の中で支えを必要とする人も増え続けている。
一方でそれを支える側を見ると、これまでの制度下では、医療、介護、障害福祉、健康づくりなどが別々に動いてきました。そのため、同じリハビリでも場所が変わると役割や扱いが変わり、切れ目のない支援が難しい、という課題があったことは、業界関係者であれば誰もが感じてきたことです。
そこで必要になるのが、バラバラに動いていた仕組みをつなぐこと。「リハビリ統括調整室」とは医療や介護、障がいだけでなく、予防や地域づくりまで含めてリハビリの役割を整理し、“機能ごとの縦割り"だった取り組みを“個々人起点の横串(時間軸)"に変えていくための拠点(ハブ)を目指す存在だ、と位置付けることができるでしょう。
医療・福祉業界において、リハビリ職に求められる役割は今まで以上に大きく広がりつつあります。病院では早く安全に退院できるよう支えることが求められ、介護の現場では今できていることを失わないよう支えることが大切だとされています。
加えて、自宅では家のつくりや家族の状況まで見ながら生活しやすい方法を考える必要があります。即ち、リハビリ職には、体の動きを見る力だけでなく「その人がどう暮らしたいのか」を見つめる力が求められる、ということです。
そして今後は、病気や怪我をした後だけでなく、弱ってしまう前から関わるリハビリも更に重要になることは間違いありません。転ばない体づくり、外出のきっかけづくりや支援、家で暮らし続けるための工夫など、地域の中で果たすべき(求められる)役割はますます大きくなるでしょう。
その意味からすれば、今回の動きは、リハビリを「治すための訓練」から「暮らしを守る支え」へ捉え直しましょう、という根源的なメッセージが込められているのかもしれません。
これから問われるべきなのは、何分(どれだけ)リハビリをしたのか、だけではなく、
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・その人が安心して家や地域で暮らせるようになったのか
・もう一度やりたいことに近づけたか
・家族の不安が軽くなったのか
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など、まさに「アウトカム」が求められます。
リハビリの本当の価値は、そこにあるのではないでしょうか。
「地域包括ケア」の精度をより一層、高めていくために
以上、今回は「リハビリテーション統括調整室」について取り上げさせていただきました。
「理学療法士及び作業療法士法」が施行されてから約60年。人口動態も大きく変化する中、今回の動きに限らず今後、本テーマに関しては様々な観点から更なる見直しが検討されていくことは間違いないでしょう。
リハビリ=専門職である療法士が行うもの、という概念だけではなく、様々な強みや役割をもつ者同士が、地域内で連携して対象者の“全人間的復権"を支援していく。正に「地域包括ケアシステム」の精度を高めていく動きだと言えるのではないでしょうか。
※引用元資料はこちら
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/001701525.pdf
(2026-06-29)


