介護経営情報

2024年度介護保険法改正に向けた「論点整理」について、あらためてポイントを確認しておきましょう

2022年12月20日「介護保険制度の見直しに関する意見」が公表

2022年12月20日の介護保険部会にてまとめられた、「介護保険制度の見直しに関する意見」(以下、「本資料」という)。本部会では2024年度介護保険法改正・報酬改定に向けた論点整理、及び視点の提示が行われ、弊社としてもその議論内容を都度、皆様に共有してまいりました。
今回はあらためて介護事業経営にとって重要だと思われるポイント、加えて現時点で認識しておいた方が良いと思われる内容を抜粋し、皆様にお伝えしてまいります。




「介護保険制の見直しに関する意見」重要テーマ・ポイントの確認

では早速、内容確認に移ってまいりましょう。本資料の概要版の中では、大きなテーマとして「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護現場の生産性向上の推進、制度の持続可能性の確保」の2つが掲げられており、そこから更に幾つか細分化された論点の提示、という構成になっています。
先ずは「地域包括ケアシステムの深化・推進」の中にある3つの論点の内の1つ目、「生活を支える介護サービス等の基盤の整備」についてです(あくまで弊社の意見ではありますが、特に業界的に注視すべきと思われる部分は太字としています。以下の論点も同じ)。

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○地域の実情に応じた介護サービスの基盤整備
・長期的な介護ニーズの見通しや必要な介護職員数を踏まえ計画を策定。その際、既存施設・事業所の今後のあり方も含め検討
○在宅サービスの基盤整備
複数の在宅サービス訪問や通所などを組み合わせて提供する複合型サービスの類型の新設を検討
・看護小規模多機能型居宅介護のサービスの明確化など、看護小規模多機能型居宅介護等の更なる普及方策について検討
○ケアマネジメントの質の向上
・質の向上・人材確保の観点から第9期を通じて包括的な方策を検討
・適切なケアマネジメント手法の更なる普及・定着
ケアプラン情報の利活用を通じた質の向上
・質の高い主任ケアマネジャーを養成する環境の整備、業務効率化等の取組も含めた働く環境の改善
○医療・介護連携等
・医療計画と介護保険事業支援計画との整合性の確保
・地域リハビリテーション支援体制の構築の推進
・かかりつけ医機能の検討状況を踏まえ、必要な対応
○施設サービス等の基盤整備
特養における特例入所の運用実態を把握の上、改めて、その趣旨の明確化を図るなど、地域の実情を踏まえ適切に運用
○住まいと生活の一体的支援
・モデル事業の結果等を踏まえ、住宅分野や福祉分野等の施策との連携や役割分担のあり方も含め引き続き検討
○介護情報利活用の推進
・自治体・利用者・介護事業者・医療機関等が、介護情報等を電子的に閲覧できる情報基盤を整備するため、介護情報等の収集・提供等に係る事業を地域支援事業に位置づける方向で、自治体等の関係者の意見も十分に踏まえながら検討
○科学的介護の推進
・LIFEのフィードバックの改善や収集項目の精査を検討

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次に2つ目の論点「様々な生活上の困難を支え合う地域共生社会の実現」についてです。

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○総合事業の多様なサービスの在り方
・実施状況・効果等について検証を実施
・第9期を通じて充実化のための包括的な方策を検討。その際、地域の受け皿整備のため、生活支援体制整備事業を一層促進。また、多様なサービスをケアプラン作成時に適切に選択できる仕組みの検討
○通いの場、一般介護予防事業
・多様な機能を有する場として発展させるため、各地域の状況や課題毎に活用・参照しやすいよう情報提供。専門職の関与を推進
○認知症施策の推進
・認知症施策推進大綱の中間評価を踏まえた施策の推進
○地域包括支援センターの体制整備等
・家族介護者支援等の充実に向け、センターの総合相談支援機能の活用、センター以外の各種取組との連携
・センターの業務負担軽減のため、
 -介護予防支援の指定対象を居宅介護支援事業所に拡大
 -総合相談支援業務におけるブランチ等の活用推進。市町村からの業務の部分委託を可能とする等の見直し
 -3職種配置は原則としつつ、職員配置の柔軟化

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次に、「地域包括ケアシステムの深化・推進」の3つ目・最後の論点、「保険者機能の強化」についてです。

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○保険者機能強化推進交付金等
・評価指標の見直し・縮減とアウトカムに関する指標の充実
○給付適正化・地域差分析
・給付適正化主要5事業の取組の重点化・内容の充実・見える化
○要介護認定
・より多くの保険者が審査の簡素化に取り組むよう、簡素化事例の収集・周知。今後、ICTやAIの活用に向けて検討
・コロナの感染状況を踏まえ、ICTを活用して認定審査会を実施できるとする取扱いについて、コロナの感染状況を問わず継続

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続いて、2つ目の大テーマ「介護現場の生産性向上の推進、制度の持続可能性の確保」に移ってまいりましょう。本テーマには大きく2つの論点が示されています。
先ずは1つ目の論点、「介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進」についてです。

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(1)総合的な介護人材確保対策
・処遇の改善、人材育成への支援、職場環境の改善による離職防止、介護職の魅力向上、外国人材の受入れ環境整備など総合的に実施
・介護福祉士のキャリアアップや処遇につながる仕組みの検討
・外国人介護人材の介護福祉士資格取得支援等の推進

(2)生産性の向上により、負担が軽減され働きやすい介護現場の実現
○地域における生産性向上の推進体制の整備
生産性向上等につながる取組を行う介護事業者へ認証を付与する取組により、優良事例を横展開
・都道府県主導のもと、様々な支援・施策を一括して取り扱い、適切な支援につなぐワンストップ窓口の設置など総合的な事業者支援
・地方公共団体の役割を法令上明確化
○施設や在宅におけるテクノロジー(介護ロボット・ICT等)の活用
・相談窓口を通じた体験展示、研修会、個別相談対応等の推進
・施設における介護ロボットのパッケージ導入モデル等の活用推進
・在宅におけるテクノロジー活用に当たっての課題等に係る調査研究
○介護現場のタスクシェア・タスクシフティング
いわゆる介護助手について、業務の切り分け、制度上の位置付け等の検討。人材の確保については、特定の年齢層に限らず柔軟に対応
○経営の大規模化・協働化等
・社会福祉連携推進法人の活用促進も含め、好事例の更なる横展開
・「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」も踏まえ、各サービスにおける管理者等の常駐等について、必要な検討
○文書負担の軽減
・標準様式や「電子申請・届出システム」の基本原則化について所要の法令上の措置を遅滞なく実施
○財務状況等の見える化
・介護サービス事業所の経営情報を詳細に把握・分析できるよう、事業者が都道府県知事に届け出る経営情報について、厚生労働大臣がデータベースを整備し公表
介護サービス情報公表制度について、事業者の財務状況を公表。併せて、一人当たりの賃金等についても公表の対象への追加を検討

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最後に2つ目の論点、「給付と負担」についてです。

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(1)高齢者の負担能力に応じた負担の見直し
○1号保険料負担の在り方
国の定める標準段階の多段階化、高所得者の標準乗率の引上げ、低所得者の標準乗率の引下げ等について検討を行い、具体的な段階数、乗率、公費と保険料多段階化の役割分担等について、次期計画に向けた保険者の準備期間等を確保するため、早急に結論を得る
○「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準
・利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直しについて、後期高齢者医療制度との関係や介護サービスは長期間利用されること等を踏まえつつ、高齢者が必要なサービスを受けられるよう、高齢者の生活実態や生活への影響等も把握しながら検討を行い、次期計画に向けて結論を得る
○補足給付に関する給付の在り方
・給付の実態やマイナンバー制度を取り巻く状況なども踏まえつつ、引き続き検討
(※)次期計画に向けて結論を得るとされた事項については、遅くとも来年夏までに結論を得るべく引き続き議論

(2)制度間の公平性や均衡等を踏まえた給付内容の見直し
○多床室の室料負担
・老健施設及び介護医療院について、在宅との負担の公平性、各施設の機能や利用実態等を踏まえつつ、介護給付費分科会において介護報酬の設定等も含めた検討を行い、次期計画に向けて結論を得る
○ケアマネジメントに関する給付の在り方
利用者やケアマネジメントに与える影響、他サービスとの均衡等を踏まえ包括的に検討し、第10期計画期間の開始までに結論を得る
○軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
現在の総合事業に関する評価・分析等を踏まえ包括的に検討し、第10期計画期間の開始までに結論を得る

(3)被保険者範囲・受給者範囲
第2号被保険者の対象年齢を引き下げることについて、介護保険を取り巻く状況の変化も踏まえつつ、引き続き検討

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タイムリーにキャッチアップしつつも、過度に振り回されないように

以上、今月は「介護保険制度の見直しに関する意見」の内容についてお伝えしました。「給付と負担」については「次期計画に向けて結論を得る(=遅くとも来年夏までに結論)」という文言が初めて明示される等の新たな動きがありましたが(政局的なことを勘案すると止むを得ない、と言えるかもしれません)、いずれにしてもこの資料により、2024年の法改正・報酬改定へ向けての大きな方向性は概ね出揃ったものと思われます。

今後の手続きとしては、議論は介護給付費分科会へと引き継がれ、より細かな改正法案・改定報酬案に関する審議が展開されることになります。経営者・幹部の皆様は是非、ご自身でも情報を追いかけていただくと共に、制度の活用は重要である一方、そこにばかり心が奪われ、結果、制度に振り回される、ということがないよう気をつけていただく必要もあるかもしれません。

いずれにせよ2024年度の改正・改定へ向け、2023年はさらに具体的な議論が始まります。
我々もしっかりと追いかけ、タイムリーな情報提供を心掛けてまいりますので、引き続きよろしくお願い致します。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29930.html





(2022-12-28)