介護経営情報
ニュースレター 2026年10月号(Vol.174)
【今月のトピックスをお伝えします】
2026年9月20日〜10月19日を目安とした期間の中から、介護・福祉業界の行政関連情報として重要だと思われるトピックスを厳選してお届けいたします。関心をお持ちのテーマについてはリンク先を参照の上、更に深く内容をご確認下さい。皆さまの日々の活動、および中長期計画策定の補助資料として活用いただければ幸いです。
1. 【改定動向】令和9年度介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」を提示〜物価高・賃上げ対応を最優先へ
厚生労働省は、第268回社会保障審議会介護給付費分科会(9月30日開催)にて、2027年度(令和9年度)介護報酬改定の骨組みとなる「基本的な視点(案)」を提示しました。全事業者の約4割が赤字経営に陥っている厳しい実態を踏まえ、「物価高・賃上げへの対応と処遇改善」を第1の視点として最優先に盛り込みました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 改定に向けた5つの柱と重点施策:
1. 物価高・賃上げ対応: 他産業との賃金格差縮小に向けた継続的な処遇改善と基本報酬のあり方検討
2. 生産性向上の推進: ICT・介護ロボットの活用、ケアプランデータ連携システムの普及による業務効率化
3. 地域包括ケアの深化: 医療・介護連携の強化、認知症対応力の向上、在宅サービスの基盤整備
4. 制度の持続可能性: 報酬体系の適正化・効率化、サービス提供実態に応じた評価の見直し
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『第268回社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年9月30日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
・介護ニュースJoint『介護報酬改定の「基本的な視点(案)」を提示 物価高・賃上げ対応を最優先』
https://www.joint-kaigo.com/articles/48998/
2. 【居住・施設】居住系・施設系サービスの改定論点提示〜夜間人員配置緩和やICT導入推進
第269回介護給付費分科会(10月9日開催)では、特定施設入居者生活介護や認知症グループホームなどの居住系・施設系サービスにおける改定論点が提示されました。深刻化する人手不足に対応するため、夜間における人員配置基準の柔軟化やテクノロジー活用が焦点となっています。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 提示された主な改定論点:
・夜間人員配置基準の緩和: 見守り機器やICT導入を条件とした夜間人員配置の見直し特例
・生産性向上推進体制加算: 要件の整理および現場の導入ハードルを下げる中間区分の検討
・認知症ケアの評価: 認知症対応型共同生活介護等における専門的ケアやチーム体制に応じた評価の拡充
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『第269回社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年10月9日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
・介護ニュースJoint『特定施設・グループホームの報酬改定論点を提示 夜間配置やICT導入を議論』
https://www.joint-kaigo.com/articles/49045/
3. 【有料老人ホーム】有料老人ホームの「登録制」施行に向けた最終取りまとめを公表
厚生労働省は「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第10回)」(10月9日開催)にて、有料老人ホームの「登録制」導入に向けた最終取りまとめを公表しました。囲い込みや過剰サービスの適正化を図るため、一定の設置・運営基準が厳格に定められます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 登録制における主な要件と指針:
・人員配置基準の新設: 日中の職員常駐義務化および夜間のオンコール・連絡体制の確保
・管理者および生活相談員: 適切な運営管理を担保するための有資格者配置基準の見直し
・囲い込み防止策: 併設事業所の利用を強要しないケアプラン策定の透明性確保と定期点検
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第10回)資料』(2026年10月9日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76664.html
・介護ニュースJoint『有料老人ホームの登録制、最終取りまとめ公表
日中常駐や夜間連絡体制を義務化』 https://www.joint-kaigo.com/articles/48928/
4. 【通所・短時間】通所系・短期入所系サービスの論点提示〜デイサービスの入浴介助・送迎加算の見直し
第270回介護給付費分科会(10月14日開催)では、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション、短期入所(ショートステイ)の改定論点が提示されました。デイサービスでの自立支援型ケアや、送迎にかかる人材確保難への対応が取り上げられました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 議論された主な見直し項目:
・入浴介助加算の見直し: 自宅での入浴自立に向けた環境整備や評価区分の再整理
・他事業者との送迎連携: 送迎人材不足に対応するための複数事業者・他業種共同送迎のインセンティブ評価
・大規模減算およびインセンティブ: サービススケールに応じた報酬調整と機能訓練効果のアウトカム評価
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『第270回社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年10月14日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76633.html
・介護ニュースJoint『通所介護・デイサービスの改定論点を提示 入浴介助や送迎加算の見直し案』
https://www.joint-kaigo.com/articles/49080/
5. 【居宅介護支援】「管理者=主任ケアマネ」限定要件を廃止・緩和へ
第271回介護給付費分科会(10月19日開催)にて、厚生労働省は居宅介護支援事業所の管理者について、現行の「主任ケアマネジャー限定要件」を廃止・緩和する方針案を提示しました。主任ケアマネの確保困難から事業所の休止・廃止が相次ぐ現場の課題を受けた画期的な方向転換です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 見直し案のポイントと期待される効果:
・管理者要件の柔軟化: 5年以上の実務経験を有するケアマネジャー等も管理者として就任可能に
・人材確保と事業継続: 管理者不在による突然の事業所閉鎖リスクを防止し地域ケア基盤を維持
・育成体制の再構築: 管理者就任後のOJTや法人内サポート体制の整備を同時に推進
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『第271回社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年10月19日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76626.html
・介護ニュースJoint『居宅介護支援の管理者要件、主任ケアマネ限定を廃止・緩和へ 厚労省案』
https://www.joint-kaigo.com/articles/49112/
6. 【居宅加算】「特定事業所加算」の要件大幅緩和〜24時間連絡体制の他事業所連携を解禁
第271回分科会(10月19日開催)ではさらに、居宅介護支援の「特定事業所加算」に関する要件緩和案が示されました。24時間連絡相談体制や研修実施について、上位区分であっても同一地域の他事業者と連携して確保することが認められる見込みです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 特定事業所加算の見直しポイント:
・24時間体制のシェアリング: 他事業所との連携による夜間休日対応を上位区分(加算I・II)でも認可
・重度者割合要件の廃止案: 加算(I)における『要介護3以上40%以上』基準の撤廃検討
・小規模事業所の支援: 算定率の低かった加算(A)を整理し、地域連携型の加算取得を促進
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『第271回社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年10月19日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76626.html
・介護ニュースJoint『特定事業所加算の要件を大幅緩和 24時間連絡体制の他事業所連携を上位区分でも解禁』
https://www.joint-kaigo.com/articles/49120/
7. 【訪問系】訪問介護のサ責負担軽減 & 訪問看護のオンライン診療補助評価案
第271回分科会(10月19日開催)において、訪問介護および訪問看護の課題に対する見直し案が提出されました。訪問介護ではサービス提供責任者(サ責)の業務負担軽減、訪問看護ではオンライン診療の補助業務など最新技術に応じた新評価が焦点です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆ 訪問系サービスの主な改定案:
・サ責の業務効率化: 作成書類の簡素化やICT活用、同一法人外の定期巡回事業所との連携評価
・訪問看護のオンライン対応: 医師のオンライン診療を看護師が訪問先で補助する行為への新評価
・専門管理加算の拡充: 認知症や医療的ケアが必要な利用者に対する訪問看護体制の評価強化
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■ 参考・引用元資料(一次情報)
・厚生労働省『第271回社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年10月19日開催)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76626.html
・介護ニュースJoint『訪問介護のサ責負担軽減と定期巡回連携の新規評価案を提示』
https://www.joint-kaigo.com/articles/49125/
■ 今月の主要トピック概要一覧
1. 令和9年度改定の基本視点
物価高・賃上げ対応を最優先事項として提示
賃上げと経営安定化に向けた経営計画・収支構造の見直しが必要
2. 居住・施設系改定論点
夜間人員配置の柔軟化、ICT加算中間区分検討
テクノロジー導入による見守り体制整備と省力化推進
3. 有料老人ホーム登録制
日中常駐・夜間連絡体制等の登録基準まとめ
運営基準・人員体制の適合と併設事業所囲い込みの適正化
4. 通所・短時間系改定論点
入浴介助要件見直し、複数事業者共同送迎の評価
自立支援型ケアへのシフトと地域連携送迎体制の検討
5. 居宅管理者要件の緩和
主任ケアマネ限定要件を廃止・緩和する厚労省案
管理者確保ハードルの低下による事業所存続・人材育成推進
6. 特定事業所加算の緩和
24時間連絡体制の他事業所連携を上位区分で解禁
地域でのケアマネ連携体制の構築と小規模事業所の加算取得
7. 訪問系サービスの見直し
サ責業務軽減、訪問看護オンライン診療補助評価
サ責の事務負担削減と訪問看護でのICT活用・医療連携
本ニュースレターは、毎月末を目途に更新予定です。
それでは、来月もよろしくお願い申し上げます。
(2026-10-30)