財政的インセンティブから介護の本質を考える

2017年06月26日

平成30年4月から、財政的インセンティブが導入されます。

http://www.joint-kaigo.com/article-2/pg127.html

当然、各自治体が介護度を意図的に下げる恣意性が働くのでは?といった各メディアの指摘ももちろんなのですが、この制度の根本的な部分を考えると、個人的に非常に危うい部分を含んだ制度だと感じます。

財政的インセンティブは、「和光市モデル」「大分県モデル」を全国的に導入することで推進していく方針のようですが、この和光市モデルは、「自立型ケアマネジメント」の徹底の上に成り立ちます。(このあたりのご説明については、弊社の介護セミナーや個別相談でお問い合わせください)

※ちなみに、直近の介護セミナーは、7/3(月)の多摩信用金庫様主催セミナーです。

https://www.bob-net.jp/general/pdf/20170703.pdf

今までの「御世話型マネジメント」から「自立型マネジメント」への転換こそ、この制度の根幹部分であると同時に、我が国の介護制度の大転換期を支える制度となります。

自立型ケアマネジメントとは、介護度の改善を主目的としたケアプランを中心にするという考え方です。そのため、自立型ケアマネジメントの中では、介護度の改善は「正」、介護度の悪化は「悪」です。

この考えってどうなんでしょうか?

私が昔読んだ本に、有名な本があります。五木寛之の「生きるヒント」という本です。五木先生はこの本の中で、医療について触れ、「医療は否定から始まる」と書いています。医療は「具合が悪い」「けがをした」「癌になった」・・・全ての体の不調を「否定」するところから始まる、と。

「介護」はどうでしょうか?私が、介護事業者様の皆様とお話しさせて頂きながら感じるのは、「介護は老いと寄り添う」ものだと言うことです。「歩けなくなった」「立ち上がれなくなった」「物忘れが激しくなった」・・・全ての「老い」を否定するのではなく、「寄り添う」姿勢を保ちながらその利用者にとってベストなバランスを探っていくのが介護なのかと。

この自立型ケアマネジメントの考え方そのものは、すばらしいものであるに違いありません。ですが、その考え方は一人一人がきちんと理解した上で実践していかないと、なんとも介護が「窮屈」なものになると感じませんか?

だから、介護事業者の皆様、恐れることはないのです。「これからはリハビリやらないデイは生き残れない」「医療機関と連携できない中小は壊滅する」といって指摘もありますが、私は違うと思います。

全ての利用者がこの窮屈な介護を選択するとは思えないのです。

そこには逆にチャンスがあるようにしか私には思えないのですが。。。


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