介護保険料 負担対象拡大は見送りが濃厚

2016年09月07日

先月末、厚生労働省が『介護保険料の負担対象拡大』を具体的に検討する方針を固めた、
と報じられました。

その後開催された社会保障審議会介護保険部会では、
介護保険料の支払いを始める年齢の引き下げが議論されましたが、
『若い世代からの理解が得られない』『給付の適正化や負担の引き上げが先』
などといった反対意見が大勢を占めました。

年齢の引き下げに理解を求める委員からも『時期尚早』との意見があり、
2018年度に予定する制度改革での実施は見送る可能性が高くなりました。

介護保険部会の委員は全員40歳以上で構成しているため、
『年齢の引き下げを検討するなら、新たに対象になる人を含めての議論が必要』
との指摘もありました。

今回の負担年齢引き下げのニュースに対する若い世代の反応を見てみると、
『手取り額が減ってさらに苦しくなる…』
『年金も介護も問題を先送りにしていて、若い世代にしわ寄せがくる』
『負担は増える一方だけど、自分が高齢者になったときには年金も介護も受けられる保障はない』
などといった現在の生活への不安、将来への不安が多く見受けられました。


急速な高齢化によって、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度には
介護費用がいまのおよそ2倍の21兆円に上ると推計されており、
このままでは介護保険制度を維持することが困難であるのは明らかです。

介護を社会全体で支える仕組みとして始まった、介護保険制度。
制度創設以来、介護保険料の負担対象年齢の拡大は度々検討されてきましたが、
今回もこの議論は、厚生労働省と委員との間で平行線のまま終わりそうです。


介護保険を支える40歳以上の被保険者は、2021年をピークに減少に転じるといいます。
いまからわずか5年後のことです。
制度維持のためには財源確保が急務であり、この問題を先送りにできるような時間はもう残されていません。


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